キャットフードに含まれている加水分解動物性タンパク、加水分解甲殻類
1.加水分解タンパクの特徴
キャットフードの原材料には、加水分解動物性タンパクや加水分解甲殻類といったものがあります。
まず、加水分解とは、水の作用によって分子を分解する反応のことをいいます。肉や魚等の動物性タンパク質を加水分解することによってアミノ酸にしたものを、加水分解動物性タンパクといいます。
タンパク質を加水分解によって細かく分解することで、消化器官への負担を減らして栄養素の吸収性を高めます。また、猫のエネルギー源にもなります。
そのため、加水分解動物性タンパクが使われているキャットフードは、消化器官の発達が未熟な子猫や、体内の機能が衰えている高齢猫に適しています。病気によってあまり食欲がない猫にもおすすめです。
また、タンパク質が加水分解によってアミノ酸になることで、旨味やコクが増して嗜好性が高くなるというメリットもあります。
2.加水分解甲殻類の特徴
加水分解甲殻類は、甲殻類の殻の主成分であるキチンという物質を分解してグルコサミンにしています。
グルコサミンは、軟骨成分を形成するために必要な成分です。グルコサミンを摂取することで、関節をサポートしたり関節炎の痛みを和らげたりすることができます。
それだけでなく、軟骨や関節に有効なヒアルロン酸やコンドロイチンも生成します。
グルコサミンはアミノ酸の一種であり、猫は体内でブドウ糖とグルタミンから合成することはできます。しかし、加齢によってグルコサミンを生成する能力が衰えている高齢猫には、加水分解甲殻類が配合されているキャットフードが最適です。
3.加水分解の方法
加水分解の方法は、一般的に塩酸を用いて行われます。加水分解が終わった後の塩酸は、アルカリで中和して除去されるため、猫にとって問題はありません。
また、製造行程中に「クロロプロパノール」という不純物が微量に生成されますが、これは発ガン性があると言われています。しかし、日本生協連ではこの不純物の量について自主基準を設定していて、この基準を十分にクリアしているか原料メーカーに確認しています。
4.食物アレルギーの療法食にも使われている
加水分解フードは消化性に優れているため、食物アレルギーの療法食にも使われています。
消化に良いサーモンが加水分解されているものや、オメガ3脂肪酸を含んでいるもの等、様々な面で優れている高品質のキャットフードもあります。
猫の健康状態やライフスタイルに合わせて、加水分解タンパクや加水分解甲殻類が配合されているキャットフードを上手に取り入れましょう。