キャットフードに含まれているビートパルプ
1.ビートパルプとは
キャットフードに含まれているビートパルプとは、砂糖の原料となる甜菜(砂糖大根)から甘味成分を搾り取った後に残る果肉繊維質のことをいいます。
ビート(甜菜)から糖分を抽出した繊維分は食物繊維となり、腸内にある善玉菌を増やすため便秘解消に役立ちます。
ビートパルプは、可溶性食物繊維と不溶性食物繊維を含んでいます。
可溶性食物繊維は水に溶ける食物繊維で、腸内を酸性に保って悪玉菌の活動を抑えます。また、腸壁の保護や善玉菌を増やして腸内環境を整える効果にも期待できます。
不溶性食物繊維は水に溶けづらい食物繊維です。大腸の働きを良くしたり、腸内を綺麗にしたりするため便秘改善にも役立ちます。
このように、ビートパルプには2つの食物繊維が含まれているので、適量を摂取することで腸内環境を整えて猫の便通を改善させます。
また、消化されない食物繊維によって腸壁を刺激して、毛つぐろいの際に飲み込んだ被毛の排出を促します。
2.ビートパルプの問題点
(1)過剰に摂ると猫の体に負担をかける
猫は肉食動物なので、食物繊維を上手く分解や吸収することができません。そのため、過剰に摂ると猫の消化器官に負担を与えます。
特にキャットフードのコストを削減するために、ビートパルプでかさ増しされているようなフードは、猫が食物繊維を摂りすぎてしまって必要な栄養素を十分に吸収することが難しくなります。
それだけでなく、ビートパルプを沢山摂ると便が必要以上に大きくなってしまって、かえって便秘を悪化させてしまう可能性があります。
また、ビートパルプに含まれている不溶性食物繊維は水に溶けないため、水分を吸収して便が硬くてコロコロした形になり、猫の痔の原因にも繋がります。
(2)抽出法の問題
ビートパルプの抽出方法は2つあります。
一つは、甜菜を搾って少しずつ圧力をかけて成分を取り除く製造法です。
もう一つは、硫酸系の薬剤を使って余分な成分を溶かす製造法です。硫酸系の薬剤を使うことで、圧力をかける方法よりも時間を短縮することができます。
しかし、硫酸系の薬剤を使って製造されたビートパルプには、硫酸が残っている可能性があるため危険です。
硫酸が含まれたキャットフードを猫が食べてしまうと、腸の神経経路に作用して便秘を引き起こすことがあります。
3.安いキャットフードは避けよう
安いキャットフードには、かさ増しとしてビートパルプが沢山使われている可能性があります。
ビートパルプは沢山摂取すると、猫の体にとって負担が大きいです。特に消化器官の働きが弱い子猫や高齢猫には避けたほうが良いでしょう。
猫に食物繊維を与えたいときは、ビートパルプではなくサツマイモなど胃腸に優しい食材を使ったフードを選びましょう。