肝臓病用キャットフード
1.肝臓病に適したキャットフードとは
(1)消化性の良いタンパク質を適量含んでいる
肝臓病の猫は、吸収した栄養素をうまく生かすことが難しいため、痩せてしまうことがあります。これを防ぐためには、良質なタンパク質を適量摂取して、肝細胞の再生を助ける必要があります。
タンパク質が必要ですが、重度の肝臓病の場合は、タンパク質を代謝した際に発生するアンモニアを、上手く解毒することができなくなります。
それによって高アンモニア血症のリスクが高くなるため、タンパク質を適度に制限する必要があります。
猫の肝臓の代謝機能が低下すると、消化吸収された栄養素を肝臓で利用することが難しくなるため、カロリーも十分に摂取できるものが良いです。
肝臓病の猫には、消化性の良いタンパク質を適量含んでいて、カロリーを十分に摂取できるキャットフードを与えましょう。タンパク質を含む量が、100gあたり25%程度のものが望ましいです。
(2)オメガ3脂肪酸を含んでいる
オメガ3脂肪酸にはDHAやEPA、αリノレン酸などがあります。これらの必須アミノ酸は血液をサラサラにしたり、肝機能を向上する効果に期待できます。
しかし、オメガ3脂肪酸は体内で合成できないため、食事から摂取する必要があります。
オメガ3脂肪酸を含んでいるキャットフードには、「サーモンオイル」や「EPA」、「DHA」などの表記があるので選ぶときに確認してみましょう。
動物性油脂の場合は劣化や酸化が早かったり、酸化防止剤などの添加物が使われている可能性が高いです。また、動物性脂肪は体に入ると固まりやすいため、脂肪肝の原因にもつながります。
オメガ3系脂肪酸を含むキャットフードを選ぶときは、動物性油脂と表記があるものは避けて、植物性油脂のものを選びましょう。
(3)銅の量が制限されている
肝機能が低下すると、キャットフードから吸収された銅が肝細胞に蓄積します。銅が肝細胞に蓄積してしまうと、活性酸素など細胞に障害を与える物質が産生されます。
これを防ぐために、肝臓病の猫には銅の量が制限されているキャットフードを与えましょう。
(4)低脂肪
脂肪分を過剰に摂取してしまうと、肝臓に負担をかけます。おやつには動物性脂肪を多く含むものがあります。動物性脂肪を多く含むフードは、酸化した脂肪分が肝臓に負担をかけるため、与えるのは控えたほうが良いでしょう。
(5)アルギニン、亜鉛、ビタミン、L―カルニチンを多く含んでいる
アルギニンや亜鉛は肝臓内の代謝を助けて、肝臓の機能を改善する効果に期待できます。
肝臓病にかかると、ビタミンが欠乏しやすくなるため、ビタミンを十分に摂取できるものが望ましいです。
また、エネルギー代謝の適正化をサポートするために、L―カルニチンを含んでいるキャットフードを選びましょう。
2.肝臓病用キャットフードを与えるときのポイント
(1)少量ずつ分けて与える
肝臓病の猫には食後の肝臓の負担を減らすために、一日分の食事量を数回にわけて少量ずつ与えましょう。
(2)獣医師と相談をする
具体的にどのような栄養管理が適切であるかは、猫の状態によって異なります。より病状に適したキャットフードを与えるために、必ず獣医師の診察を定期的に受けて、指示に従いましょう。